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重度障害当事者×言語聴覚士の目線から描く、未来の社会と必要なこと

編集部コメント:
YouTube「令和の虎」を拝見し、門傳さんの思いや言葉に心を動かされ、本連載をお願いしました。言語聴覚士として、そして希少難病を抱える重度障害当事者としての視点から、「伝えられる/伝えられない」で支援のあり方が左右されてしまう現状を、発達障害の文脈も交えながら紐解いていただきます。

はじめに

はじめまして。
門傳佑子(もんでんゆうこ)と申します。
言語聴覚士であり、希少難病を抱えた重度障害当事者で母親でもあります。

自らが障害のある立場になってから、とても珍しい疾患であることもあり、説明の難しさを感じる場面が増えました。
搬送先が変わったときや新たな症状が出たときに、自分の身体のことであるにもかかわらず、うまく言葉だけでは説明できなかったり、伝わらなかったりする……という状況に何度も衝突しました。

その時の症状によって伝えられないといった「伝えられなさ」は発達障害の領域でも同じように起きていると考えています。

この連載で扱う3本柱

そこで今回、数回にわたり、

  • 発達障害について症状の波によって発信できるときとできない時「伝えられなさ」
  • 発信の状況により周囲の支援状況や環境調整が大きく変わること
  • 本人のコンディションに依存しない伝え方、環境調整

の3本柱から「インクルーシブ教育と就労環境の調整へ」というお話を連載させて頂きます。

ここでいう「伝えられなさ」は初めから何も伝えられないということだけではありません。
事前に伝えていたとしても、予期せぬ体調の波によって想定外の症状や状態になり、結果として「いつもの自分の説明」が通用しなくなることがあります。

その際に支援や環境調整が止まったり、誤解が生まれたりしやすくなります。
そんな現実も含めて整理していきたいと考えています。

言語聴覚士として、そして当事者として

そのお話をするにあたって、まずは私自身の自己紹介を簡単にさせて頂きたいと思います。

2019年に4年制大学を首席で卒業し、埼玉県内の急性期・地域包括ケア病棟のある病院へ就職。
外来で小児の発達障害リハビリテーションも扱っている病院でした。

就職から3か月目に突入するという頃、突然の喘息様の発作から症状が寛解するどころか様々な神経症状も悪化。
2年半という年月をかけ、重症筋無力症・スティッフパーソン症候群・自己免疫性脳炎と診断されます。

その後、病気と闘いながらも結婚、出産を経験。

私自身が障害当事者となり、様々な病気や障害を抱える方々と繋がる機会が増えました。

当事者として医療や福祉に直面し、医療者だけの目線では気が付けなかった多くのことを感じ学ぶようになりました。
その中で、臨床では働けずとも言語聴覚士として世の中の役に立てれば、という思いから様々な方との交流や独自での学びを続けました。
時には、SNSのDMやZoom等で実際に障害をお持ちの方の相談に乗るなど活動をしてきた7年間です。

診断名を超えて見えてきた共通の課題

重度の障害を抱える当事者となり、言語聴覚士としての活動の幅を広げたり、障害のある方や子育てをされている親御さんと繋がりリアルな声を知りたいと思うようになりました。

そこでSNSを用いて発信をするようになり、発達障害のあるお子さんの親御さんとの交流や、発達障害当事者の方との交流も増えました。
それだけではなく、私自身が障害を抱えながらも社会参加をしたいと思う一方で、国や自治体の制度による制限や企業からなかなか理解を得られない、働くことが難しいという現実にぶつかりました。
その現実とぶつかった中で身体・精神障害様々な方と関わり、世の中の障害者雇用について深く考えるようになりました。
同時に、「働くこと」の前段にある教育の環境こそが重要だと痛感し、日本のインクルーシブ教育の遅れとインクルーシブ教育の重要性に着目するようになりました。

そして、「インクルーシブ教育に特化した学校の設立を目指していきたい」という志をもつようになり、YouTubeの「令和の虎」へ出演。
ありがたいことに多くの方にご覧いただきました。

私が大切にしている視点

私がさまざまな方と交流する時に大事にしていることが「病気や疾患を診るのではなくその人をみること」です。
病気の有無に限らず、人にはその人の良いところ、得意不得意なことがあって完璧な人はいません。

その人のどんなところが魅力的で、どんなことが得意なのかを丁寧に見ていくと、どんな場面で力を発揮しやすいかが見えてきます。
だからこそ、どんなことに向いていて、どんな環境ならできるかを一緒に考えることが大切だと思っています。

ここまで読んで、「臨床半年で何が書けるの?」そう思われた方がいてもおかしくないなと私自身も思っています。

一方で、当事者になった言語聴覚士の私だからこそしか聞いてこられなかった当事者の生の声、そしてそこから学べたことや気が付けたこと。
発信することのできる内容がたくさんあるとも思っています。
少しでもリアルな生の声から学び、培った知識からみなさんのお役に立つようなコラムの発信がしていければと考えております。

拙い文章の部分もあるかと思いますが、お付き合いいただけましたら幸いです。

次回予告:
次回の投稿では、発達障害の分類について改めて軽くわかりやすいように触れ、そこから考えられる「伝えること」の難しさについて発信していこうと思います。
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『凸凹といろ。』のもうひとつのかたち。
原点である紙のフリーペーパーも、ぜひ手に取ってみてください。

凸凹といろ。編集部

これまで紙でお届けしてきた記事は、すべて「凸凹といろ。編集部」として掲載しています。 Webでも引き続き、編集部一同で大切に紡いできたストーリーをお楽しみください。

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