
障害も多様性のひとつとして認め合う
私は今、日本を少し離れて、アメリカのシアトルでこの原稿を書いています。
今回は、滞在中に私が肌で感じたことを伝えようと思います。
アメリカは医療費が高くてADHDの薬がなかなか手に入らないなどの問題はあり、一概に「アメリカが素晴らしい国」だとは言い切れません。
ですが、様々な人種や性別、障害のある人たちが“社会からはみ出した人たち”というわけでなく、“社会を包括する仲間たち”という意識が強いと感じました。
日本だと、『障害』というとすごく相手との壁を感じてしまう時が多々あります。
当事者の方は経験済みだと思いますが、「発達障害だ」と伝えた時に、「発達障害には見えないよ!そんなこと誰にでもあるよ!」だとか、「私も発達障害かもしれない」という反応にモヤモヤすることが多かったです。
でも、アメリカだと「あっ、そうなんだね」くらいの反応で済むことが多く、気持ちが楽です。
地域差はありますが、『発達障害』や『学習障害』に対する認知度は比較的高いので、日本ほど誤解や偏見を持たれることはなく、自分が発達障害で困っていることを何の躊躇もなく話すことができました。
障害も多様性のひとつとして認め合うことは素敵だと思います。
自分らしくあることをお祝いしよう
滞在中の6月はLGBTQ+(セクシャルマイノリティ)の権利を啓発するための活動が行われる『プライド月間』で、シアトルではいたるところにレインボーフラッグがありました。
シアトルはアメリカでも有数のゲイフレンドリーな街として知られており、滞在中にはプライドパレードがありました。
そこでは、性別、年齢、人種、障害など一切関係なく、“自分たちが自分たちらしくあること”をみんなでお祝いしていました。

プライドパレードでは、LGBTQ+はセクシャルマイノリティだけでなく、「全てのマイノリティに対して社会がサポートするよ」という意思表明をしていました。
その中で私は、発達障害のある私も「私らしさ、自分らしくいることを一緒にお祝いしよう。だって私には仲間がいる。私という存在を社会が認めて、サポートしてくれている」ということを実感しました。
まだ、日本では色々な問題が山積みですが、前よりもちょっと恐れずに自分の発達障害のことを話せるかも、と少し前向きな気持ちになりました。
発達障害は虹(レインボー)みたい
レインボーフラッグはLGBTQ+(セクシャルマイノリティ)の象徴として掲げられていますが、シアトルの街中に溢れるレインボーフラッグを見た時に、「発達障害もレインボーみたいだな」と思いました。
1人の人間だけど色んな色があって、得意なこともあれば苦手なこともある。
その人なりの個性の濃淡があって、同じ発達障害でも全然違う。
だから、それを多様性として認める。
私の発達障害を「レインボーみたいな人」って言われたら、ちょっと面白くて嬉しいかも。

ASD/ADHD当事者
日本で長年不登校を経験し、その後アメリカ、カナダへ留学。
17歳の時に発達障害の診断を受けた。
現在は、アメリカ人の夫と国際結婚後、大阪で”言語とアートと文化”をテーマにDOORというプロジェクトを立ち上げ活動している。
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