お取り寄せページ
Staff Blog

人生、すべてはTrigger(きっかけ)なのだと思う。

ひきこもりを扱わないと決めた私が、Triggerフェスに関わっている理由

発達障害とは直接関係がないけれど、深く関係しているテーマに「ひきこもり」があります。
このテーマについて、私はずっと悩み続けてきました。

『凸凹といろ。』は、発達障害の当事者メディアです。
直接関係がないテーマを扱うことで、軸がぶれてしまうのではないか。その不安がいつも頭にありました。
「アダルトチルドレン」や「精神障害」といったテーマについても、全く同じ理由で悩んできました。

どれも無関係ではない。けれど、同列にしてしまうのは違う。
その違和感を、私はとても大切にしています。

『凸凹といろ。』としてのこだわり

これまで私は、
「今、未来を見ている当事者」
「目的や生きがいを見つけた当事者」
を意図的に選んで紹介してきました。

それは、同じ特性を持つ当事者が前向きに生きる姿を見せることで、まだ未来に希望を見出せていない人の「引き出し」や「希望」になる種を蒔きたいからです。
これまで読んでくださった方ならわかると思いますが、私は「問題提起」や「悲壮感」は一切伝えていません。これは私のこだわりです。

そういった課題はとても大切ですが、私は専門家ではありません。
そこは、熱く活動している専門家の方々にお任せすればいいと思っています。
結果的にそうなるのなら、それは素敵なことだとは思っていますが、私は「社会をどうにかしたい」なんてあまり考えていません。
ただ、明日への光が見出せない人にとって、「自分にもこの未来が選べるかもしれない」という足掛かりを残していきたい。
そして、「発達障害」という言葉をまだ知らなかった人が、たまたまこのメディアに出会って、何かを考えてくれるのも嬉しい。
私は『凸凹といろ。』を通して、その小さな「きっかけ」の種を作りたいだけなんです。

誠実でありたいからこその「お断り」

そんな中で出会ったのが、ひきこもり支援団体『NPO法人COCOいこっと』の梅川さんでした。
最初、梅川さんからは「ひきこもりについて発信したいので、『凸凹といろ。』のページをいくつか提供してほしい」というお話がありました。

でも、私はお断りしました。
「直接関係がないので、テーマの軸がぶれてしまう」と思ったからです。
本当に断るべきなのか、受け入れるべきなのか。あの時は大きく悩みました。
でも、やはりお断りしたんです。
その後も、そのことがずっと頭のどこかに残っていました。

泉州Triggerフェスで見つけたもの

その後、梅川さんが始めたのが『泉州Triggerフェス』というイベントでした。
ひきこもり当事者が“きっかけ”を見つける音楽フェス。

「ひきこもり支援×音楽フェス」これ、すごくいい!と思いました。
気づけば私は、自分から半ば強引に運営メンバーに入れてもらっていました。

このフェスの特徴的な仕組みに、「ドタキャン・飛び込み参加OK枠」という枠があります。
事前申し込みをしていても、当日連絡なしにドタキャンしていい。
逆に、当日ふらっと来て飛び入りで発表してもいい。
当然、運営や司会陣はてんやわんやです(笑)。
でも、どんなにバタバタしても、見事なアドリブと連携で乗り切る。

なぜそこまでしてこの枠を用意するのか。
それは、「成し遂げること」が大切なのではなく、「何かをやってみたいと思った気持ち」……その「きっかけ」にこそ重きを置いているからです。

人生は、すべて「きっかけ」

これこそが、私が『凸凹といろ。』で大切にしている理念と、全く同じものでした。
むしろ、私自身の人生も同じです。
人生、すべてはTrigger(トリガー)、つまり「きっかけ」なのだと思っています。

そしてその手前で大切なのは、どれだけ多くの選択肢を知り、視野を広げられるか。
選択肢を持っていなければ、未来を描くことはできません。
そして最後には、それを実行するための、ほんの小さな「きっかけ(トリガー)」さえあればいい。

『泉州Triggerフェス』は、人生を動かす最後のピースとも言えるその「きっかけ」を蒔いている場所なんです。
この活動に心から共感したからこそ、私はここに参加しています。

さいごに

このフェスには、『凸凹といろ。』で出会った方たちもたくさん関わってくれています。
シネマッツンさん、風見穏香さん、八柳まごいちさん、スターブロッサムの皆さん……。
みんなそれぞれに社会との関わりを断った経験があったり、そういった人たちへの強い思いがあったりして、このイベントに意味を見出して集まっています。

『凸凹といろ。』がWebメディア化したことで、よかったと思うのは、こうしたテーマを「ブログ」として扱いやすくなったことです。
これまで「扱いづらい」と直接取り上げてこなかったテーマについても、私の活動記録として、考えていきたいと思っています。

私もいち当事者であり、『凸凹といろ。』の活動を始めたことを皮切りに、発達障害のこと、ひいては自分の人生についてよく考えるようになりました。
これからも皆さんと一緒により自分のことを知り、考え、そして新たな選択肢を少しずつ増やしていきたいと思っています。

この記事は役に立ちましたか?

『凸凹といろ。』のもうひとつのかたち。
原点である紙のフリーペーパーも、ぜひ手に取ってみてください。

編集長・デザイナー

『凸凹といろ。』の発案者で、代表。全体の企画、編集、デザインなどを行なっています。 時間感覚、短期記憶の弱さ、衝動的な発言(失言)や不注意など、自身の発達特性が原因でうまくいかず、 “人と働く”ことは早々に諦め、現在はフリーランスでデザイナー、イラストレーターとして仕事をしています。 やりたいこと、気になることが多すぎて手が回らないのが悩み。 タスク管理や見通しのつきづらい仕事にはなかなか手をつけられないなど困った特性がある反面、思いつきや衝動で動くことも多く、一旦動き始めるととても行動が早い。 雑談や人付き合いへの苦手意識が強いが、基本的に人が大好き。

関連記事

お取り寄せページ
目次